はじめに
今、私は療育センターの待合室でこの記事を書いています。長男は今、WISC検査(知能検査)を受けているところです。
先ほど心理士さんが呼びに来たとき、「じゃあ行きましょうか」と自分から立ち上がり、やる気満々で検査室へ入っていった長男。 事前に「得意なことや苦手なことが分かるクイズみたいな検査だよ。今困っていることの手助けになるヒントが見つかるかもしれないから、正しく結果が出るように一生懸命やるんだよ」と伝えておいたのですが、その言葉を受け止めて頑張ろうとしてくれたのかもしれません。
待合室で一人、静かに息子の帰りを待ちながら、どこまで頑張れるだろうという楽しみな気持ちと、これまでの歩み、そして「検査結果をどう伝えるか」という葛藤が頭を駆け巡っています。
今回は、不登校の息子がなぜこのタイミングでWISC(知能検査)を受けることになったのか、そして親として結果とどう向き合い、どう伝えていこうとしているのか、我が家の体験をお話しします。
なぜ「今」不登校の長男にWISC検査を受けさせようと思ったのか?
実は、長男がWISC検査を受けるのは今回が初めてではありません。4年前にも一度受けたことがありました。 当時は結果を親である私だけが聞き、「生まれ持った特性だから数値は大きく変わらない」と医師から説明を受けました。
そんな我が家が、なぜ再びWISC検査を受けようと思ったのか。そこには次男の経験と、長男自身の変化がありました。
きっかけは次男の心理検査と「なるほどね」という表情
我が家では、長男は療育手帳を持っていますが、次男は持っていません。 1年ほど前、次男が療育手帳の申請のために児童相談所で心理検査(田中ビネー)を受けました。結果として数値が高く手帳の範囲外となり、手帳は取得できませんでした。
検査後、頑張った結果を知りたいと言った次男に、心理士さんから聞かされた数値をそのまま伝えたことがあります。 すると次男は、「なるほどね」と、自分の生きづらさの原因を知れてホッとしたような、安心した表情を見せたのです。
数値を聞いたことで、自分の取説(取扱説明書)を手に入れたような次男の表情が、私の心に強く残りました。
通信制高校への進学で少しずつ元気を取り戻した長男
当時は不登校で心が落ち込んでいた長男でしたが、その後、通信制高校への進学が決まりました。 その学校の学習スタイルがとても合っていたようで、自分からZoomをつないで先生とレポートを進めたり、実際の校舎に登校してお友達とおしゃべりをしたり、VRチャットでオンラインのフレンドと交流したりと、少しずつ笑顔を取り戻していきました。
「今なら、メンタルも安定している。結果を聞いて自己理解を深め、もっと楽に生きていく手段として検査を活用できるかもしれない」
そう思い、主治医に相談して今回のWISC検査を決意しました。
WISC検査を受けるまでに迷っていた2つの理由
決断するまでには、実は2つの大きな迷いがありました。
① メンタルが落ちている時期は本来の力が測れない
今年の4月頃に一度ドクターに相談した際、「今は不登校で心が落ち込んでいる状態なので、本来の力を発揮できないかもしれない。負担も大きいし、本当の結果が見られない可能性がある」と言われ、検査は保留になりました。 心理検査は、本人の心の元気が溜まっているタイミングで行うことがとても大切なのだと実感しました。
② 「数値(IQや手帳)」が与えるインパクトと本人の落ち込みへの不安
もう一つの迷いは、はっきりとした「数字」が出ることによる本人へのダメージでした。 実は以前、進路の会話の中で長男に「療育手帳」を持っていることを伝えた際、何か失敗したときに「俺は手帳持ちだからできないんだよ」と言わせてしまったことがありました。 良かれと思って話した言葉が傷となり、心に残ってしまったのではないか……と、話し方を深く反省した苦しい記憶があったのです。
数字には表れない「息子の本当の魅力」
数字は客観的に自分を見る手助けになりますが、数字がすべてではありません。 息子の優しさ、穏やかさ、発想力、好奇心といった素敵な部分は、数値には表れてこないのです。
それでも「今の現在地」を知ることは、これから社会で生きていくための手助けになるはず。そう信じて一歩を踏み出しました。
WISC検査の結果はどう伝える?心理士さんと決めた我が家の方針
数字の与えるインパクトが大きいからこそ、今回は心理士さんと事前によく相談し、以下のような方針を決めました。
- まずは親(私)一人で結果を聞きに行く
- どの部分をどのように伝えるか、心理士さんと事前に作戦会議をする
- 本人・親・心理士さんの3人の時間を設け、心理士さんから話してもらう
「数字をドカンと突きつける」のではなく、「ここが得意だね」「ここはちょっと苦手みたいだから、こんな工夫ができるね」と、本人が前向きに自己理解を深められるような伝え方をプロの力を借りて行う予定です。
この段取りが決まったことで、私自身の不安は消え、「息子の生きていく道しるべができる」という楽しみな気持ちに変わっていきました。
自分の現在地を知り、気楽に生きてほしいという親心
長男には自閉スペクトラム症(ASD)、ADHD、学習障害(LD)、軽度知的障害といった、医学上のさまざまな診断名がついています。 本人も「自分は周りと少し違うのかな」とうすうす感づいている様子があり、最近は「こんなこと言ったら変だと思われるかな」「間違えたらどうしよう」という不安からか、声をぼそぼそと小さくして自信なさそうに話す場面が増えていました。
でも、私は息子に伝えたいのです。 「間違えても大丈夫。自分の気持ちを言葉で伝えるのは難しいけれど、どんな方法でもいいから頭の中をアウトプットして、少しずつ自信を取り戻してほしい」と。
ナビで目的地に向かうときも、今どこにいるのかという「現在地」を知らないとルートを決めることができません。 今回のWISC検査が、息子にとって自分らしく楽に生きていくための「現在地を知る手掛かり」になってくれればと願っています。
まとめ
不登校や発達特性のあるお子さんの「WISC検査を受けるタイミング」や「結果の伝え方」に悩まれているパパさん・ママさんは、きっと全国にたくさんいらっしゃると思います。
大切なのは、以下の3つだと感じています。
- 本人の心が安定し、前を向けそうなタイミングを選ぶこと
- 数字そのものではなく、「得意なこと・工夫できること」に目を向けること
- 伝えるときは親だけで抱え込まず、心理士さんなどの専門家と一緒に届けること
検査を終えて出てくる息子の顔を見るのが、今はとても楽しみです。 これから結果を聞き、本人へ伝えていく過程も、またこの「のほほん日記」でリアルにお伝えしていきますね。
あなたの心が、今日少しでも軽くなりますように。

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